構造岩石学

カンラン岩や変成岩から地球の物質循環を読み解く


水上 知行(助教)

 カンラン岩は上部マントルの主要な構成物質です。地表の多くの現象を理解するには、マントルをより詳細に知る必要があります。マントルを直接に観察することは困難ですが、私たちが触れられるマントル物質としてマントルゼノリスや造山帯カンラン岩などがあります。そうしたカンラン岩には、実際のマントル物質がたどった物質循環の履歴、力学的挙動、化学的変化について多くの情報が記されています。私は、そうした情報を読み取ることで、固体地球の物質循環をより正確に理解したいと考えています。

  • 水がマントルカンラン岩へ及ぼす影響
  • 水が岩石中に存在すると、その性質が大きく変化する。沈み込み帯のようなテクトニック場では、マントルの物理・化学現象に及ぼす水の関与を解明することは大きな課題となっている。
  • カンラン岩体の上昇問題
  • 重力場では運動が許されれば、密度の大きい物が沈み、より軽い物が浮く。軽い地殻の下に重いマントルがあるのは、地球にとっては安定した状態である。しかし、造山帯には地殻物質に混ざって巨大なカンラン岩体が露出している。重たいはずのマントル物質がどのように地表まで上昇するのか。その解明は、地球内部におけるマントルの力学的挙動を理解する手掛かりとなるはずである。
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