アモルファス地球物質学研究室
無秩序のなかの新たな世界を探る
奥野 正幸 (教授)
無秩序なナノスケール構造を持つ、珪酸塩融液(マグマ)やガラスなどのアモルファス物質について、その原子レベルの構造と性質の解明に取り組んでいます。最近は、珪藻やガラス海綿などの生物起源ガラスや人工オパールなどの非結晶物質についての研究を開始し、アモルファス物質に重点をおいた地球物質の総合的な理解をめざしています。それでは、研究の一例を紹介します。
- 珪酸塩ガラスの構造とその圧縮・破壊
- 私の研究室では、マグマと密接に関係する珪酸塩ガラスのナノ構造と性質についての研究を精力的に進めてきました。特に、隕石衝突を想定した衝撃実験による、ガラスの高密度化と欠陥構造の生成について、大きな成果をあげてきました。また、高圧力下における珪酸塩ガラス(マグマと類似構造を持つ)のナノ構造の変化を明かにし、地球内部でのマグマの挙動についての情報を明らかにしています。
- 生物起源の非晶質物質の研究から、生命の起源へ
- 珪藻という生物の殻は、ほぼ純粋な非晶質シリカ(ガラス)で成っています。また、ガラス海綿を構成する非晶質シリカは、光通信のデバイスである光ファイバーとそっくりな形と性能を持っています。このように、生物がガラスや鉱物を生成する過程を調べることによって、太古で宇宙や地球上で展開された無機物質からの生命誕生にせまることができるのです。