地球環境進化学研究室
過去温室地球の解明から未来の地球を予測する
地球環境進化学研究室
地球の歴史は、氷河がある地球と氷河のない地球=温室地球に大別できます。現在は氷河がある地球ですが、温暖化が極度に進行したらどうなるのか、過去の環境変動がわかれば未来を予測することも可能です。本研究室では、温室地球とはいかなる世界かを解明することをめざしています。
- 約1億年~6500万年前:温暖化が極度に進んだ白亜紀後半の地球
- 海洋プレートの活発な生産により多量の二酸化炭素が放出、温暖化現象下にあった。極地方は温暖で氷床はなく、深層水の生産速度が遅く、海洋深部への酸素供給が乏しかった。一部の中緯度では蒸発により高塩分・高密度となった海水が発達したが、その水域の循環は不活発で貧酸素状態になった。そのような海底に蓄積した有機物の正体は二酸化炭素を吸収した植物プランクトンたちである。分解を免れて地層に埋め込まれた彼らは,「二酸化炭素の吸収者」として温暖化抑制の立役者として働いてくれた。
- 約5500万年前:現在に良く似た「地球温暖化」が生じた
- 海水温上昇により海底のメタンハイドレード(メタンは酸素と結合して二酸化炭素になりやすい)が放出され、急激な温暖化が生じた。その速度は現在の「地球温暖化」にも匹敵する。このとき地球環境はどのように変化したのか?その答えは明日の地球の姿を予測するための大切な鍵を与えてくれる。
- 研究のフィールド
- 地層の堆積速度が著しく速かった北海道、過去において寒冷な海洋深層水が生成されていた可能性のあるニュージーランド、大陸内部の気候変化を見るのに適したモンゴルの地層,および世界各地の深海底で掘削されたボーリングコアなどを研究対象にしている。