化学プロセス工学研究室

物質循環型のものづくり


田村 和弘(教授)

 環境保全の観点から、これからの化学プロセスには、環境負荷の大きい有機溶媒から、二酸化炭素や水など天然に存在する物質に代替化することが重要です。本研究室では主に、二酸化炭素の超臨界流体を利用する技術に取り組んでいます。超臨界流体とは臨界点以上の温度・圧力下にある物質の状態のことで、気体の拡散性と液体の溶解性を備えています(たとえば二酸化炭素の臨界温度は31.1℃、臨界圧力は7.38MPa)。

  • 本研究室では超臨界二酸化炭素を用いて
  • ・抗菌機能を有する二酸化チタンのナノ粒子で表面コーティングする。また、太陽電池などに使われる有機電子材料のナノ粒子で薄膜を創製する。
  • ・水を使わず、乾燥工程が省略された染色法を開発。染料が再利用できる。
  • ・ポリフェノールなどの植物由来の抗酸化物質を抽出する方法を開発する。
  • ・患部を認識して薬剤を輸送するシステムに必要な薬剤のナノ粒子を生成する。
  • ・ほか、化学、バイオ、材料などさまざまな領域での応用に取り組んでいる。

液晶の大手企業にも採用されている研究成果


多田 薫(助教)

 本研究室では主に、高分子材料の成形加工過程で生じる問題をコンピュータで解析し、企業の製造工程で実用できる最適設計や制御の手法を開発しています。

  • 主たる研究は高分子フィルム
  • 高分子フィルムは、液晶ディスプレイに代表されるフラットパネルディスプレイをはじめ、半導体、基盤、医療、建築資材など幅広い分野で活用されている。本研究室では、液晶ディスプレイで使われる光学フィルムや保護フィルム、電子回路用の基板フィルム、食品や雑貨包装用のチューブラーフィルムなどの製造工程における変形の状態や物性を解析している。 また、導電性ポリマーの改良やポリウレタン繊維の紡糸装置の解析などの研究にも取り組んでいる。
  • 企業との共同研究で数々の実績
  • 以上のような製造工程開発に関わる実験装置は極めて大規模であるため、本研究室が理論解析を、企業が検証実験を担当している。これまでに、企業との共同研究から新製品が開発されるなどの成果を上げている。
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