進化発生学研究室

ヒトと近縁なのにウニたちが異端なのはなぜ?


山口 正晃(教授)

 ウニを含む棘皮動物は私たち脊索動物に近い生き物です。彼らは幼生期、ヒトと同じく、前と後がある左右対称の形をしていますが、生体になると五放射相称という奇妙な形になってしまう、それはなぜなのか?私たちは、棘皮動物とその近縁の動物の形づくりの遺伝子ネットワークを比べることで、棘皮動物の進化の道筋がわかるのではないかと考えています。

  • ウニの発生のメカニズム
  • ウニ卵は、16細胞期に中割球、大割球、小割球が現われ、小割球は自律的に骨片形成細胞へ分化、しかも胚形成の中心として働く。どの遺伝子が小割球の特異化(分化と誘導能力)を決めるのか、小割球のみに発現している(スイッチON状態)遺伝子を調べたところ、新しい遺伝子micro1を発見した。ところが、micro1だけでは小割球の特異化には不十分で、Krlという遺伝子が共に発現する必要があるとわかった。こうした遺伝子ネットワークについて研究している。
  • Hox遺伝子からのアプローチ
  • Hox遺伝子は動物の体の前後軸と体節を決める。この遺伝子群が染色体上に並び、発生過程では、その順番に対応して前後軸に沿った発現をする(昆虫ならば触角が腹部ではなく頭部にでき、脚が頭部ではなく腹部にできるということ)。では、成体が五放射相称をとるウニではHox遺伝子群はどのように発現するのか。ウニが脊索動物と共通祖先を持ちながら例外的なのはなぜ?を探っている。
ページのトップへ