臨海実験所

人類に有益な物質を秘めた海洋生物たち


鈴木 信雄(教授)


関口 俊男(助教)

 私たちは、海洋生物の生理学的解明について形態学的手法や分子生物学的手法を用いて研究しています。主なテーマは3つです。

  • マシコヒゲムシの生態の解明
  • 世界の冷水域や深海に生息する有鬚動物門のヒゲムシ類は口や消化管がなく、硫化水素を酸化してエネルギーを得る細菌を体内に共生させ、その細菌が作る炭水化物によって生きている。能登半島の九十九湾は暖流が流れ込む浅い海であるが、ここに生息するマシコヒゲムシは世界で唯一、暖流に棲む種である。これまでに私たちは本種の完全固体を世界で初めて採集し、本種に細菌が共生していること、その細菌が炭素を固定するための遺伝子を持つことを証明、硫化水素を無毒化する能力を持つ本種のヘモグロビンの一次構造を解明した。
  • カルシトニンを取り出す
  • 無脊椎動物のゴカイからカルシウムを調整するホルモン=カルシトニンを取り出す研究にも取り組んでいる。
  • 魚類のウロコを用いた研究
  • ウロコには骨を作る細胞(骨芽細胞)と骨を壊す細胞(破骨細胞)が共存することから、ウロコを骨のモデルとしたアッセイ系を開発した。そのアッセイ系を用いて、物理的刺激(重力、微小重力、磁場、超音波)やホルモン等の生理活性物質の作用を解析している。さらに環境汚染物質の作用も研究している。最近、重油に含まれる多環芳香族炭化水素類が魚の骨代謝を攪乱していることを証明した。重油汚染により魚の脊柱彎曲が報告されているので、その機構の解明を目指している。
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